NHKスペシャルでプレシジョン・メディシンの特集を組んでいました。
プレシジョン・メディシンについてですが、日本製薬工業協会のホームページによれば、
Precision Medicineは「精密医療」と訳される場合もありますが、まだ一般に認知されたネーミングではありません。個人の遺伝子情報などを含む詳細な情報を基に「より精密な対応を行う医療」という意味と捉えると、個別化医療(予防・先制医療を含む)、あるいはゲノム医療の延長線上の概念と考えるほうがわかりやすいでしょう。
と規定されています。
実際に今日見たNHKの番組では、がん患者にその遺伝子を解析して、より効果的な薬を投与するという方法が紹介されていて、その効果の高さに驚きを禁じ得ずにいられませせんでした。
アメリカでは国家戦略の柱の一つとなっていて、がん治療の新たなるステージとして期待されているだけでなく、増大する医療費の削減にも貢献すると考えれらているようですね。
従来のがん治療に代わる新たな治療法
番組では、長年のガン治療で苦しんでいた患者さんが、医師から勧められた
プレシジョン・メディシンの診療方法とは、患者から採取したがん細胞の遺伝子情報を解析し、そこからがんの原因となる遺伝子異常を発見すると、それに適応する薬を投与する、という手法のことです。
この際に使われる薬とは「免疫チェックポイント阻害薬」「分子標的剤」の2つで、従来の抗がん剤と比べて副作用が少ないといわれています。
このプレシジョン・メディシンによって、これまで抗がん剤によるがん細胞の減少が3割だったところが、7割にまで高まったという衝撃の臨床結果が出ています。
まさにがんに苦しむ人にとって「福音」ともいえる治療法ですよね。
プレシジョン・メディシンを受けられる病院と費用
スクラム・ジャパンに参加している病院が中心になります。
スクラム・ジャパンとは「産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業」のことです。
現在日本全国で235の病院と15の製薬会社が同事業に参加している模様。
こうした遺伝子解析による「がん細胞」の特定には、現在3種類の段階があって、「保険適用される薬」「臨床段階の薬」「特定できない」となっており、このうちの「臨床段階」の投薬は自由診療になるため、治療額が高額になるようです。(40万円~100万円)
これ以外の「特定できない」は、どの遺伝子が異常をきたしているのか、判別つかないパターンもあるので、その場合はプレシジョン・メディスンによる治療そのものが受けらません。
ただその時に判別できなかったり、適応する薬が無いという場合でも、後に臨床試験で認可される薬が出てくることもあるので、医師や関係機関との連絡は絶たないことが必要だといえます。
AI(人工知能)による遺伝子解析
プレシジョン・メディシンの本場であるアメリカでは、より精密な解析を行うためAI(人工知能)を導入し、それによって従来の診療ではカバーしきれなかったレベルまで解析することが可能になっているのだとか。
IBMが開発した人工知能システム「Watoson(ワトソン)」を、「がん」の治療に役立てる試みがアメリカとカナダで開始されました。
Watsonは膨大な過去の医療データや論文などをデータベースに格納しており、これと実際の患者の医療データを照らし合わせることで、最も適切と思われる治療方針や薬についての情報を医師や患者に提案してくれるシステムとなっています。
日本でもこのシステムを導入して、より高度で正確なデータを得ることに成功している機関も出てきています。
まさに世界に広がる遺伝子解析の輪という感じですよね。
この人工知能システムによって、これまで以上により多くのがん患者が救われることができればと思います。
最後に
がん治療といえば「苦しい治療」とか「抗がん剤で副作用」というイメージがありました。
実際に私の周りでも何人かが「がん治療」を受けていて、長く苦しい治療の末に、残念ながら亡くなってしまった親戚もいます。
しかし今日この番組を見て、がん治療というのが今これだけ進んでいて、従来の治療では考えられないほどの効果を生み出しているということを知り、明るい未来を見たような気持ちになりました。
これからも技術が進歩して、より精度の高い治療が可能になり、多くのがんで苦しむ患者さんが救われることを願っています。